本日 164 人 - 昨日 450 人 - 累計 908176 人

ネット上に広がる中傷、24時間監視②

 年間250回の講演で安川さんが強調するのが、ネット上で「忘れてもらう」ことの難しさだ。彼女と抱き合っている様子。いたずらをしている現場。小中学生にもスマートフォンが普及し、軽率にこうした写真や記事をネット上に掲載する事例が急増している。個人情報を集めた「まとめサイト」が勝手に作られ拡散。そのスピードに削除は追いつけない。
 個人情報に限らず、ネットにあふれる不適切な情報の削除に、技術で対応する取り組みも進んでいる。
 200畳ほどある広いビルの一室に詰めた50人ほどの若いスタッフたちが、数秒ごとに切り替わっていく卓上の2台のモニター画面に目をこらす。
 ネット監視業務のイー・ガーディアン(本社・東京都港区)のセンターの風景だ。同社はブログやSNS、掲示板の運営企業から委託を受け、わいせつ画像のほか、死体や暴力シーンなどのグロテスク画像を監視し、削除している。
 国内5カ所で計550人のオペレーターが3交代、24時間態勢で365日、目を光らせるが、1日に監視できるのは動画を含めても1千万枚ほど。同社は、精度を落とさずにできる自動監視を実現するため、人工知能に詳しい東京大の原田達也教授に相談を持ちか けた。原田教授は2年前、画像認識分野では最も有名な国際コンペで2位に入った。画面に映し出された物を、「スポーツカー」「犬」など1千種類の選択肢の中からあてる部門だ。
 同社はいま、原田教授にノウハウを提供してもらい、ネット監視を始めている。「下着」「水着」「裸」などの画像を学習させ、正解率は94・5%に高まった。ただ、問題のないページを「問題あり」と判定してしまう誤検知率も19%あり、改善の余地があるという。
 ネット上の個人情報をすぐに消すことをうたうサービスもある。

2014年11月16日 朝日新聞

RSS