相談は学校内です。時間を決めて。子どもが集中できる時間というのは1時間以内ですよ。授業時間は45分から50分です。それぐらいしか人間の集中力は持ちません。休憩が入らなければ、集中力が続かないのです。ですから、生徒の相談に乗る時は、1時間以内で設定して相談に乗らなければならないのです。終わりの時間が分かっていたら、お互いに集中できるのです。皆さんも生徒の相談に乗るときは必ず時間設定をしてください。
中には、時間設定をしたけれども、何も話してくれない生徒もいます。もし、生徒がずっと黙って何も話してくれなかったらみなさんはどうしますか?あら、皆さんも黙ってしまうんですか?最近の子どもの中には、思いを伝えるのがすごく苦手な子がいます。「おはよう」と言っても、「おはよう」の一言も言えない子どももいます。
ただ、そういう子どもも「おはよう」と言いたい思いはあるのです。言葉が出てこないだけなのです。
不安定な子どもに電話番号とかメールアドレスを教えると、夜中とかも必ず電話が来ます。
大変なことになりますよ。「先生、寝られないの。っていうか、今手首切ってるの。これってどれぐらい血が出たら死ねるの?何かもう私、生きているの嫌になっちゃったから、最後に先生の声だけ聞こうと思ったの。ごめんね、心配かけて」なんて、そこで電話を切って自殺されると困ると思って朝方まで相談に乗るでしょう。これをやってしまうと、どんどん入り込んできます。
他の生徒がその先生と話しているのを見ていたら、不安定になるんです。不安定になってくると、もっと私を見てという行動をとり始めます。わざと階段から落ちてみたり、その先生からカッターを借りて、トイレの個室で自殺未遂を図ったりと。 特に女の子の場合、転移というのが起こることがあります。先生に対して恋愛感情が芽生えてしまうのです。だから、ケータイ番号やメールアドレスなどの個人情報は、教えてはいけないのです。相談は学校内でのらなければいけません。時間設定をしないから、ずっと話が続くのです。このようなことを指導されていない若い先生方がたくさんいます。このような先生を「友達先生」といいます。「生徒を叱れない」「生徒と個人的なつき合いをしてしまう」「夏休みなどもずっと生徒とLINEをやってる」なんていう先生もいます。これは明らかに一線を越えているんですよ。
教室では生徒の相談にはのらないでください。教室というのは子どもにとって一番相談しにくい場所です。広い教室で二人きり。不安定になるでしょう。しかも、教室の椅子は、固いです。固い椅子というのは眠くはなりませんけれども、緊張してしまうんです。居心地が悪いんですよ。皆さん、疲れて家に帰ったとき、ソファと木の椅子があったら、どっちに座っています? ソファでしょ?不安定な子どもはリラックスさせなければなりません。教室の椅子はリラックスできません。しかも、教室は誰でも出入り自由な場所なのです。大体加害者の子どもがわざと聞こえるような声で笑ったりして圧力をかけるんです。誰が入ってくるか分からないという場所で、思っていることがあっても気になって話せませんよ。子どもを守る上でちゃんと場所の確保が必要なのです。皆さん方だって、深刻な話題、人に聞かれたくない話題があるでしょう。そういうとき、どこでも話ができますか?違うでしょ?「ちょっと何か聞かれている感じがするから、場所を変えない?」なんてなるはずですよ。
子どもだってそうです。まずは相談室とか保健室とかちゃんと子どもが安心できる場所を確保してあげなければならないのです。 さらに時間設定。時間設定をしなければ、相談が終わらない子どもがいます。しまいには、「先生、メールアドレス教えて、先生、ラインやってる? 先生、電話番号教えてよ」などと先生の個人情報を聞きだそうという子どももいるんですね。べらべら子どもに自分の電話番号とかメールアドレスを教えてしまうような先生がいるんです。
CHATLINEとCONNECTLINEの2つのアプリは、出会いを推奨するための掲示板アプリにも見えますが、実際はあなたの電話番号等の個人情報を盗むアプリです。LINEの公式アプリに見せかけた罠が沢山あるので十分注意してください。
加害者達に謝罪させるときも全員集めて謝罪はさせません。全員集まると謝罪が軽くなってしまうのです。必ず1対1で謝罪させることが大切です。
その中に先生も入ります。
この子をクラスに復帰させるのは、担任から見て問題がないなと思ってからです。その場合でも、いじめというのは忘れたころに必ず起こります。担任の先生というのはいじめが起こった場合、必ずお昼休みは生徒と一緒に食事をとるべきですよ。食事が終わった後も、次の時間の準備もして、お昼休みも生徒と過ごすんです。大体こういう子って孤立してしまいますから。一人でぽつんと座っている。孤立してしまって。一人でぽつんと黒板のほうを見て御飯を食べる。すごく屈辱的なのが分かりますか?
教室内でのいじめがなくなっても、みんなが白い目で見ていると思うと、教室にいづらくて、食事もほとんどのどを通っていかなくて、トイレにずっとこもっていたりね。廊下をうろうろ歩いて時間をつぶすような子どももいるわけなのです。そういうことからちゃんと守ってあげなければならないんです。担任の先生もついて、その子の居心地が悪くならないように、例えばグループの中に、その子が比較的仲よく話せるグループに先生も入って、その子も入れて一緒に御飯を食べるとか。お昼休みもその子といろいろと会話をしてあげればいい。担任と副担が交互でもいいんですよ。月曜日は担任の先生、火曜日は副担任の先生で。掃除もそうです。
とにかく生徒だけでいる時間というのを極力少なくする。いじめというのは先生がいないところで起こるんですから。一番多いのはお昼休み。さらに部活です。部活動でも生徒任せにして、いや、形の上の顧問だからなんてほとんど参加していないような部活なんていうのは大体荒れていますよ。上級生が幅をきかせているんです。下級生に対してのいじめは必ず起こっていますよ。準備運動のころからちゃんと先生がいてあげなければならないんです。顧問というのは守っていく役割があるのです。強くすればいいという問題ではないんですよ。
授業だってそうでしょう。プリントを出して、先生が職員室にいるからなどという先生方はいないでしょう。部活でも顧問を持った以上は責任があるんですから、ちゃんと子どもたちを見守っていかなければならないんです。道具運び、準備運動の時間から。掃除も生徒と一緒になって掃除をする。
そうすることによって子どもを守っていくことができます。そこでこの子がまだちょっと不安定だななんていう場合は、すぐに相談にのってあげてください。時間を置かないでくださいよ。いじめが起こった場合というのは、今いじめがないから大丈夫だなと思わないで、何回かはちゃんと時間をとって生徒の相談にのってください。
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2回目の話は矛盾点だけを聞いていきます。3人が共通のことを答えたものに関しては、質問項目から省きます。これを繰り返していくと逃げ切れなくなります。嘘はつき通せないものです。 矛盾点ばかり突いていくと「あいつしゃべっているんだな」ていう気持ちになるんです。人間というのは、皆さん方が例えば悪いことをしたとしても、3人グループで何かやって、別々な場所で話を聞かれると、大体3回目ぐらいで、「あ、私の言っていることはばれているんだ」という気持ちになってくる。そうすると、本当のことを話し始めます。本当にやっているのであれば、3回繰り返すと子どもたちは認めますよ。
やったということを自分たちで認めさせてから保護者を呼びます。子どもの問題だから親まで呼ばなくていいでしょうという先生もいるんですが、だめですよ。必ず、実態はちゃんと伝えることです。保護者にも責任があるのですから。これからの子どもの対応についてもちゃんと保護者として考えてもらわなければならないのです。
今の子たちに多いのは、白か黒、100か0です。 学校も無遅刻、無欠席、皆勤賞でいった子どもが一度学校を休んでしまうと、雪崩のようにそれからずっと休み始めるという子どももいるんです。100点ばかりとった子どもが一度悪い点数をとったら、もう勉強なんてどうでもよくなってしまうような子どもも多いのです。そういう子育てをされている子どもがたくさんいます。
複数の先生で一人の子どもをしかりつけてしまった場合、取り返しのつかないことをしてしまった、さらにそこに人格否定が入ってしまうと、もうどうしようもないことをしてしまった、死ぬしかないなんて思ってしまうような極端な子どももいるわけなのです。だから、あくまでも話を聞くのは担任の先生。副担は様子を見ることに徹します。 30分後に、担任の先生が抜けて会議室とかに集まって話し合いの内容、それぞれの子どもが答えたことを全部合わせていきます。副担任はそのまま教室に残ります。なぜ、副担は教室に残るかわかりますか?先生一人で対応して教室に誰もいなくなったら、「お前、絶対に言うなよ。こういう風に言おうぜ」と必ず
子どもたちは集まって口裏合わせをします。だから副担任は教室に残るのです。
トイレに行くっていったら、副担任もついていくのです。
担任の先生が全部の話、聞いた内容をまとめていくと、本当のことは3人とも一致しているはずです。誰か一人でも違うことを言っている。それは、3人の中の誰かが、うそをついている証拠です。
学年で話をすると、科目担当の先生とかがいろいろ把握していることが、また出てくるのです。それを総合すると、いじめの加害者像というのがはっきりと分かってきます。
例えば、3人の子どもが一人の子どもをターゲットに嫌がらせをしていたという事実が分かった場合、ネットの書き込みもこの3人が中心となっていたというのが分かった場合どうするか。まず、学年で話し合いをして、学年全員の先生に共通の認識として把握してもらいます。その上で加害者に質問する項目を決めていきます。同一の時間に必ず別々の場所で加害者から話を聞かなければならないのです。よく学校の先生方は、3人集めて話を聞くということをやりますが、3人集まったら本当のことは言いません。
罪を犯した子どもたちを3人とも集めて話なんか聞くと、話を折り曲げて自分たちが都合がいいように話をするのです。警察だって、尋問するとき犯人を全員同じ場所に集めて話なんて絶対聞かないです。必ず別々の場所で同一の時間に話を聞くというのが基本中の基本なのです。だから、一人では対応できないのです。例えば、加害者①にはA組の担任の先生に話を聞いてもらう。加害者②にはB組の担任の先生に話を聞いてもらう。加害者③にはC組の担任の先生に話を聞いてもらう。ただし、ここでちゃんと学年で話をして質問項目は全く同じことを同一の時間に話をすることが大切です。 そこにさらに副担任の先生が入ります。副担任は話には一切加わりません。副担任は担任が質問して加害者が答えているときの様子をただ単に見てもらいます。加害者の子どもが話している表情を特に中心に見てもらいます。気が付いたことはメモをとります。さらにICレコーダーで話し合いの内容は記録します。これが副担任の仕事になります。副担は、一切話には加わらないようにします。
学校側の対応として、クラスの中で先生が話しをするのは絶対にやってはいけません。子どもの気持ちを考えると、これは最悪の事態になります。クラスの中で、「これはクラスの問題だから、クラスのみんなにも把握してもらわなければならない。これはいじめなんだ」ということを先生がホームルームでクラスの生徒に伝えてしまうと被害者の生徒は、よけい学校に行きづらくなってしまいます。いじめられている当人の気持ちは全く考えていません。そんな見せしめにされて学校に行けるわけがないでしょう。 まずは、いじめの実態が分かったら、学年で必ず話し合いの内容を共有しなければならないです。例えば、ボイスレコーダーで記録した内容、さらに、親から提出された書類、いじめの実態。親から聞いた話の内容は全部学年で共有します。今のいじめはもう担任一人で対応できなくなっています。必ず学年で対応しなければならない時代に変わっているのです。というのは、いじめが見えづらくて、しかも複数の子どもがかかわっていることが多いからです。無視であるとかネットでの嫌がらせであるとか、複数で一人の子どもをというのが今の時代のいじめの特徴です。
夫婦で行って、相談室に入ったら、まずお礼からですよ。「佐藤先生、こうやって時間をとっていただいて、本当に感謝します。うちの旦那もぜひ佐藤先生にお礼を言いたい、会いたいといって、今日仕事を休んで来てしまったんですよ。うちの子もね、佐藤先生、佐藤先生っていつも言っているんですよ。ありがとうございます。」と言ってから始めるのと、いきなり本題から入られるのというのは違うんです。いい気分にさせておく。それからまず証拠を出していく。「実は今うちの子、ちょっと学校を休んでいるのですけれども、親としてどうしていけばいいのか分からなくて、佐藤先生の指導を仰ごうと思ったんです」と言ってから子どもがいじめられている証拠を出します。 証拠を出されるともう逃げようがないです。言葉で言うよりも、子どもから実際に聞いた内容、ネットの書き込みの内容、ほかの親から聞いた内容、全部文字として残っているわけなのです。感情的になって話す言葉ではなくて、ちゃんと冷静に先生も読むことができます。さらに担任の先生が把握している部分もありますよ。さらにここでもう一つ大切なことがあります。「いやあ、私たちもこの年になったら、ちょっと忘れやすくなってしまって、済みません、ボイスレコーダーを持ってきているんですけれども、先生、ボイスレコーダーで話し合いの内容を後でも思い出せるように記録して構わないですよね」と言われると、嫌とは言えないでしょう。これでもう証拠は完全に残ります。言った、言わないということはもう一切言えなくなるのです。「そんなことは言ってません」と学校側も言い逃れできなくなります。教員も保護者もお互いにいいかげんなことは言わなくなります。ボイスレコーダーで必ず証拠は残すことは大切です。話し合いをしていくと、実際、子どもが話している内容、ほかの親から聞いた内容、ネットの書き込みの内容、さらにそこにプラスして、担任の先生がうすうす感じている部分をトータルしていくといじめの実態が見えてきます。
電話でふだんのお礼から言われた場合は、先生は、快く時間設定をしてくれます。旦那さんに話すのは先生に時間設定してもらってからですよ。そのときの旦那さんへの話し方も大切です。自分の旦那さんに、「あなたも行ってくれるでしょ?あのね、子育てって夫婦でやるものなのに何でも私任せ。あなたは仕事で忙しいって言うけど、仕事と子どもとどっちが大切なの?」そうすると、旦那さんは、「うるせえな。休めるわけないだろう。子育てはお前の仕事だぞ」ということになってしまうのです。
ところが、「あなた、あのね、あの子の担任の佐藤先生がね、●月●日に時間設定をしてくれたんだけれども、本当はこれ、私一人でいくべきよね。子育ては私の責任だものね。でも、やっぱり私、あなたが頼りよ。あなたが行ってくれたら、すごく心強いの。忙しいのはもう十分、わかっているの。でも、お願い、一緒に行って。あなたがいるとすごく心強いから。お願い。やっぱり私、あなたが頼りよ」なんて言われると、ニヤニヤして、「じゃあ、ちょっと調整してみるか」と一緒に行ってくれるようになります。 これが、「あなたね、私のせいにいつもするけれども、あなた、子育てのことちゃんと考えてくれてるの? 学校でせっかく時間とってくれたんだから、一緒に行きましょうよ。あなたにだって責任あるんだからね」なんて言うと、旦那さんはイライラしてしまうのです。 学校側も、お母さん一人で行くのと、旦那さんと夫婦で行くのというのは、残念ながら対応は違います。しかも服装を見られますよ。ふだん着のだらしないスウェットでなんか着ていくとそれなりの対応しかされないんですよ。きちっとした正装で行くと、やっぱり学校も、「ああ、しっかり対応しないと」、と思うんですね。
学校に連絡するのはいじめの実態がしっかりと固まってからです。ほとんどの親は、子どもから話を聞いたらすぐに頭に血が上って学校にどなり込んでくるんです。「先生、ちょっとうちの子が今いじめに遭っているのに、先生、どういう指導しているんですか」なんて言われると、学校の先生方も、とにかくその親を早く帰したいという気持ちのほうが先行するんです。親が帰ってからもそのことが話題になります。「あの親、ほんとモンスターペアレンツだ。子どものことでギャーギャーわめいて、本当に扱いづらいよ」なんて、余計子どもが学校に行きづらい状況ができ上がってしまうんですよ。
特に感情的になっている言葉は相手に伝わらないことは先ほどから言っています。頭に血が上っているときというのは冷静さを欠いていますから、相手にしっかりと伝わるような話ができていないのです。話があっち飛んだりこっち飛んだり、結局学校のほうも、この親、何言いたいんだっていうことになってしまうのです。いじめの実態が分かったら、まずは、担任に電話を入れなければならないんです。例えばこうです。「佐藤先生にはうちの子がいつもお世話になって本当にありがとうございます。佐藤先生はすごく優しくていい先生だなんてうちの子はいつも言っているんですよ。それで、先生、今うちの子がちょっと学校を休んでいるんですけれども、先生、ちょっとご相談したいことがあるんですよね。佐藤先生だったら、私もいろいろ相談しやすいので。済みません、いつであればお時間とっていただけますかね」なんて言われると、「あ、いつであれば大丈夫ですよ」と十分時間を確保してくれます。
それが、いきなりどなり込まれた場合。「先生、ちょっとどうしてくれるんですか。うちの子、今こういうことを言っているんです。いじめがあるんですよ。先生、ちゃんと把握しているんですか」なんて言われると、心臓がばくばくなってね、先生だって冷静な対応がとれないんです。何とかこの親を早く帰したいという気持ちが先行してしまうのです。
ネットにひどいことを書かれているとか、こんな画像をさらされているとか、LINEでこういうことがあったんだなんていうことを話すのは信頼関係ができてからですね。最初からそういうことを話す子はまずいないです。ネットの書き込みというのは本当は一番親に言いたくないものです。でも、親がちゃんと受け止めてくれるというふうに分かったら、ネットに書かれていることも話し始めます。これが一番の証拠になります。
実際にメールで来た内容、LINEの内容、掲示板の書き込みって全部証拠として残っているわけなのですから。学校に提出するものはプリントアウトで構いません。それが犯罪や人権侵害にあたると判断した場合は、警察に相談しなければなりません。そのような場合はプリントアウトだけでは、警察は証拠として認めてもらえません。警察に提出するものは必ずネットの書き込みを保存しておかなければならないんです。学校に提出するものはあくまでもプリントアウトで構わないんです。まずその証拠がためをしっかりしていきます。
さらに、子どもの話だけで判断するのではなく、子どもの同級生の親からもいろいろ話を聞いてみることが大切です。ふだん仲よく話をしたり、PTAの会合で会っているような親がいて、連絡先を知っていれば実際に会って話をするんです。「いや、うちの子がちょっと最近元気ないんだけど、おたくの●●ちゃんから何か聞いていることない? もしどんな小さいことでもあったら教えてよ。」なんて言うと、結構思い出すんですね。自分の子どものことは感情的になっていろいろ話をする。他人の子どものことだと結構いいかげんに子どもの話を聞いている親っているんです。「そういえば、うちの子、こんなこと言ってたわ」と他の親からも情報を得ることも大切です。これもすべて証拠になります。
話が終わった後、子どもが子ども部屋に行ったら、その日に話した内容を全部まとめます。●月●日、●時から●時までと日時を明記した上で、子どもから聞いた内容をすべてまとめます。旦那さんがいる場合、必ず旦那さんにそれを報告してください。自分一人で判断するのはだめですよ。子育ては夫婦でやっていくものです。子どもと話した内容は必ず旦那さんに伝えてください。いくら忙しくても、子どもたちとこういう話をしたんだけれども、明日どうしたらいいかねと旦那さんの意見も聞きます。夫婦で相談して、あまりにも子どもが不安定な場合は別に翌日学校を休ませたっていいんですよ。翌日は十分時間を取れるでしょう。時間がとれたら、また時間設定して、子どもの相談に乗る。お母さんとまた30分ぐらいお話ししましょう。これはメモをとりながら相談に乗っちゃだめなのです。子どもの話をメモをとりながら相談に乗る。調書を取られている感じです。「えっ、これ、学校の先生に言っちゃわないよね、今、うそを言っているのにこんなことまでメモされている」と思うと、子どもは言葉が出てこなくなるんです。メモはとらない。これは当たり前なのです。
また翌日も何時までお母さんとお話ししようねと時間設定をして相談に乗るでしょう。そうすると、うそってだんだんばれてくるものなのです。皆さんも旦那さんについているうそ、奥さんについているうそも、何回か話している間にばれてしまいますよね? 本当のことというのは一貫性があります。ただし、その場しのぎでついたうそというのはだんだんずれてくるんです。うそも含めて受け止めるんですよ。翌日もちゃんと子どもと向き合って話をしていって、昨日と今日で話の内容が一貫しているというのは子どもが本当のことを言っている。昨日と今日でちょっと話がずれている部分というのは、子どもは自分の身を守るためにうそをついている部分、親にうそを言っている部分なのです。三日ぐらい通すと分かってきます。明らかにこれは子どもが本当のことを言っている。これは子どもがうそを言っている部分。これを見抜くのも親の力です。いいですか。何回かにわたって話を聞いていくと、必ず本当のこととうそのことが分かってきます。うそのことというのは言っている内容がどんどん変わってきますから。
これをちゃんとメモに残しておくんですよ。人間というのは聞くだけでは忘れます。聞いた内容を必ずメモに残しておくことです。子どもが子ども部屋に行った、そのときすぐにメモに残すんです。時間を置かないでください。皆さん、いくら頭がよくても食べた物は、時間とともに忘れます。三日前の夕食の献立を覚えていますか? 覚えていないでしょう。食べているときは忘れようと思って食べていないでしょう。食べ終わって、昨日も何食べたか、ひょっとしたら、この中の半分ぐらい忘れているかもしれません。いいんです、それは食べ物だからです。でも、子どもの相談の内容、昨日の相談の内容は忘れていたら、これは親として失格です。食べ物だって食べ終わった直後、何を食べたということをメモに残しておくとよみがえってくるんですよ。昨日何食べた? ちょっと待って、そうそう、あの日はめちゃくちゃ暑くて食欲がないから冷やし中華を作ったんだけれども、おいしくておかわりしちゃった。というように、だんだんよみがえってくるんです。
子どもの相談も、相談が終わった直後にメモを残しておくと、その子の話しているときの表情がまずよみがえってきますね。うそを言っているときの表情も人間というのはやっぱり分かるんですよ。至近距離で話を聞いていると、うそってなかなかつけないものです。表情に出てきてしまうんですね。本当のことを言っているときとうそを言っているときの表情が明らかに違いますから。三日ぐらいそれを通していくと、本当のこと、うそのことも親のほうが分かります。
ただ、子どもには、「話が違ってるわよ」ということを言ってはいけないんです。うそも含めて受け止めるのは親の役目です。そこで信頼関係ができてからですよ。
子どもの正面に至近距離で座ると子どもは追い詰められ視線を合わせません。例えばこうです。話しやすいですか。嫌ですよね。もうちょっと前に出てみてください。もっと話しづらくなります。ところが、こうなるとすごく楽になるのがわかりますか?かなり違いがあるでしょ?正面に座ると子どもは余計に不安定になります。学校の先生方でも生徒の正面に座る先生がいるのですが、生徒は下ばかり向いてほとんど先生の顔を見ませんからね。人間というのは目と目が合わなければ、気持ちが伝わりませんよ。どちらかが目をそらしている間は気持ちが伝わらないのです。正面だと子どもが不安定になって目をそらしたがりますので、ほんのちょっとでも距離をとってください。この距離ですごく安心するはずです。
手を伸ばせば届くくらいの距離に対角線に座ります。不安定な子どもは声が小さいですからね。子どもを一番追い詰める言葉を、学校の先生方も親もよく言ってしまう。「何? 聞こえない、もう1回言って」これは絶対に言ってはいけないんです。不安定な子どもに聞こえないとかもう1回言ってと。何?だけもだめなのです。聞こえなければ聞こえる距離まで移動してあげればいいだけの話です。子どもを左前に座らせると話しやすくなるはずです。
これは人間の脳の構造から来ています。左前というのは、左半分の顔を見ています。左半分を見ていると、この子はうそを言っているか、本当のことを言っているかというのがわかります。人間というのは左半分に全部出ます。両方見ようとするとごまかされるんです。顔の引きつりぐあいとかで全部出てしまうのは左半分のほうです。左半分というのは右脳が支配しています。右の脳というのはイメージで捉えるのが右脳です。不安定な子どもには右脳に話しかけたほうが本音が出ますね。左脳に話しかけるとどうなるか。いや、うちの親、こんなこと言ったら、学校の先生の所に言ってしまうかな。相手の家に行ってしまったらどうしようなんていろいろなことを考えながら話すのが左脳なのです。だから、子どもの本音をそのまま聞きたいという場合は、相手を左前に座らせて、左半分の顔、左耳に話しかけていくということが一番基本です。
手を伸ばせば届くくらいの距離が一番いいです。距離が遠過ぎてしまうと、不安定な子どもの声って聞き取れませんから。それでも聞こえない場合はこうです。横に座ってあげればいいんです。横というのは一番距離が近いです。聞こえないんだったら、聞こえないという前に子どもに横にそっと座ってあげればいいだけのことなのです。皆さん、横に座られていても嫌じゃないでしょ?聞こえなければ聞こえる距離まで移動してあげればいいだけのことなのです。子どもの話をうそも含めて全部受け止めるのが大人の役割です。全部受け止めるんです。うそも含めて、うなずいて受け止める。
子どもが、いじめの実態とかを話し始めたときに、大体親は焦るんです。「だから、それがどうしたの」と途中で口を挟まれると、人間は言葉が出てこなくなるのです。全部受けとめるだけにしてください。子どもが話し始めたときに受け止めるというのはうなずくということです。皆さんはふだんどおりうなずいていてください、子どもにうなずくように。はい、ふだんどおりです。それはね、うなずいているとは言いません。揺れているようにしか見えません。 うなずくというのは受けとめるということです。相手に伝わらなければ、うなずいていることになりません。皆さんは多分見えている風景、皆さんの視野が変わっていないはずです。うなずいたときに必ず見えている部分が変わらなければならないのです。これが相手にとったら受けとめてくれているという気持ちになるのです。いいですか。適当じゃだめですよ。よく首だけ振っている人がいますよ。これはすごく腹が立つんですよね。分かっている、分かっているは聞いているふりということです。人の話を聞いていない人ほどよく首振りますからね。近所の奥さん方だってそうですよ。話なんてろくに聞いていない人は、まあ、首だけ揺さぶっている。絶対だめですよ。
うなずくというのは、子どもが言っていることがうそか本当かというのは関係ないんです。その話はちゃんと聞きましたよというのがうなずく。だから、次の話、移っていいよというのがうなずくということなのです。うなずかれると、人間は安心して次の言葉が出てくるんですが、親がうなずいてくれなかったり、相談に乗ってくれている人がうなずいてくれなかったら、次の言葉がなかなか出てこないんですよ。
子どもは自分にとって都合が悪いことは話しません。「●●ちゃんに殴られた」とは言いますが、こういう原因を作ったから殴られた、とそこまで話す子っていないですね。前半部分は自分にとって都合が悪い。だから、都合が悪いことは子どもは話しません。これは当然です。すぐに感情的になる親というのは、「●●ちゃんに殴られた」とか、「ものを隠された」って子どもから聞くと、プチンってキレる。相手側の親のところにどなり込んでいったり、学校にクレームの電話を入れたりして子どもが学校に通えない状況を作ってしまうのです。 まず、子どもの話を聞くときは、例えば子どもがいじめられているとか話し始めたとき、絶対に口を挟まないで最後まで聞いてください。話を聞くときの姿勢というのも、すごく大切です。学校も親もそうなのですが、ちょっとまねしてください。例えばここに背もたれにくっついてちょっとふんぞり返って腕を組んでいます。これは明らかに威圧になります。威圧されると、子どもは思っていることを話せなくなります。足を組むというのもそうですよ。いい加減に話を聞いているときというのは、人間というのは腕を組んだり、足を組んだり、ひじをついたりするのです。
大好きな芸能人がテレビに出ていると、真剣になってくると、必ず前かがみになってきますね。前かがみになられると、人間は受け止めてもらっているという気持ちになります。たかがこれぐらいと思うかもしれませんが、これは人の話を受け止めるうえで最も大切なことです。人の話を受け止めるときは必ず前かがみです。学校の先生も生徒の相談に乗るとき、ふんぞり返っているような先生が、例えばちょっと不祥事を起こして校長から呼び出しがかかった。校長の前では、ふんぞり返っていませんよ。必ず前かがみになっています。前かがみというのは受け止めるという姿勢です。子どもの話を受け止めるときには必ず前かがみです。
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