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消えた記事、抗議で復活①

「検索結果の削除」の影響は、思わぬところに出ている。
英紙ガーディアンのネット関連の編集者、クリス・モーランさんは7月、グーグルから2通の電子メールを受け取った。グーグルからメールが来ることは珍しいことではない。だが、この日のメールのタイトルはこれまでにないものだった。「グーグル検索から削除のお知らせ」とあったからだ。
中身は、ある人名を検索すると現れる同紙の記事3本、ある事柄を検索すると現れる記事3本の計6本を検索結果から削除する、というものだった。
モーランさんはこのとき、「事前の警告なしの記事削除は、グーグルがメディアの怒りをわざと買おうと計算しての行動かも」と感じた。実際、これ以降、「忘れられる権利が表現や報道の自由を阻む」と、忘れられる権利を批判する議論が勢いづいた。
記事のうちの一つは、英国のサッカー審判、ダギー・マクドナルド氏についてだった。同氏は主審をした2010年のスコットランド・プレミアリーグの試合で、いったんPKの判定を出したあとで撤回。試合後に「線審に説得されたから」と釈明したが、その後、釈明がうそだったことがわかり、リーグの審判の辞任に追い込まれた。記事はその騒ぎを伝える内容だった。
グーグルは5月の判決後、
欧州連合(EU)域内の個人から、検索結果の削除を求める申し込みフォームを設けた。マクドナルド氏は、その仕組みを使って削除を申請。グーグルが申し出通りに、英メディアの関連記事のリンクを、検索結果から削除したのだった。

2014年11月16日 朝日新聞

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