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忘れられる権利③

忘れられる権利——。ネット上で個人のプライバシーを守る新たな「権利」が注目されている。
 2014年11月16日 朝日新聞


「名刺交換をすると、相手がいつか自分の名前を検索するのでは、という強迫観念が常にあった。ご飯を食べていても、その怖さが頭から離れなかった」
「忘れられる権利」を知ったのはそんな時だった。「検索サイトで結果に表示されなければ、だれもそうしたサイトにはたどり着けない。そうなれば、そのサイトはないのと同じじゃないか」
すぐに弁護士にメールした。「先生、これ日本でもできませんか」
約5カ月後の10月9日。東京地裁は、男性が求めた237件の検索結果の削除のうち、男性の人格権に著しい損害を与えかねない122件について、グーグルに削除を命じる仮処分を決定した。EU判決を契機にした国内男性の仮処分申請は、日本で初めてとみられる司法判断につながった。グーグルは同月22日、決定に従う意向を明かした。
ネットのことを思い煩わなくていい生活。男性はいま、「普通の人の感覚って、こんな感じだったんだ」と語る。男性は今回、自らが特定され再び検索されることにつながるような属性情報を明かさないことを条件に、匿名で朝日新聞の取材に応じた。
グーグルは、EU司法裁の判決を受けた欧州では、個人から削除申請を受け付け、検索結果を次々と消している。14日までにEU域内からの削除依頼はURLの数で計56万9993件。グーグルはこれまでに処理したうちの4割の約20万件を削除した。それがいま、新たな波紋を呼んでいる。

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