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社員が女子高生になりすまし…LINEオープンチャットで本社が“サクラ投稿”を指示

ユーザーの個人情報が中国の関連会社から閲覧できる状態になっていたことが発覚した通信アプリ「LINE」。同社が運営する「LINEオープンチャット」で、本社の指示により、社員らが一般ユーザーになりすまして投稿を続けていたことが「週刊文春」の取材で分かった。
LINEオープンチャットは、ユーザー同士が匿名で共通の話題についてやりとりできるサービス。2019年8月に開始したが、匿名性が高いため、わいせつな内容や売買春目的の投稿が相次ぎ、批判が殺到。すぐに一部機能を停止した。それ以降、LINEは投稿内容を監視し、昨年5月、福岡市に本社がある100%子会社のLINE Fukuokaに事業移管している。  LINE関係者が明かす。 「春は進学する世代がスマホを手にする時期で、〈高校生限定〉に人が集まりやすい。そこで現役女子高生を装った社員がトークルーム(掲示板)を開設し、“サクラ投稿”をしています。他のトークルームでは、社員やスタッフがキラキラ女子や不登校生などを演じています」  一例をあげれば、美容に関するトークルームで「ニキビに効くコスメはありますか」という質問に対して、中年男性がネットで調べた答えを投稿したこともあったという。  LINE関係者が告発する。 「こうした“サクラ投稿”はスタッフの独断ではなく、本社からの指示です」 小誌は、LINE本社の指示を裏付ける本社が作成した「Talk-room Operation」と題する“やらせマニュアル”を入手した。 「運営イメージ(監視・サクラ投稿)」というところでは、〈会話がまったく盛り上がっていなかったら話題提供、脱線しすぎていたら軌道修正するなどもしてほしい〉と指示。また、「サクラ投稿参考例はこちら」として〈さっきLINE PayでBOOK-OFFのクーポンきたので行きたい〉と自社サービスを宣伝した過去の実例を紹介している。幹部は「ユーザーの民度が低いから手本を見せているんだ」と開き直り
 さらに「トークルーム作成&運営方法詳細」では、プロフィールについて〈LINE社員が運営していると想像されないような、ナチュラルなニックネーム&画像を設定〉。〈一部の端末では入室時に挨拶するなど一般ユーザーぽい投稿をする〉、〈一般ユーザー入室から3日程度は注力。だんだん熱心なユーザーが現れるので、それまではネタを提供するなどする〉と記載されている。 「サクラ投稿で集客し、あたかも成功しているように見せるために行っています。社内で異論もあるが、幹部は『ユーザーの民度が低いから手本を見せているんだ』と開き直っています」(同前)  LINE本社の広報担当は、「週刊文春」の取材に対して「業務マニュアルの中に誤解を生む表現があったことが社としてわかりました」と回答。マニュアルの該当箇所は小誌が確認を求めた4月12日に訂正された。  また、15日にリリースは出さずに、LINEアプリ内のオープンチャットの「お知らせ」で「事務局によるオープンチャットの管理運営について」と題して、次のように発表した。 〈一部事務局で管理運営を行っているオープンチャットがございます。  その際、トークルーム内の発言の中立性を保つため、どれが事務局による運営であるかについては公表しておりません。何卒ご了承いただきますようお願い申し上げます。〉  ITジャーナリストの篠原修司氏が指摘する。 「“サクラ投稿”はユーザーの信頼を裏切る行為で、コンプライアンス上問題がある。LINEは政府や自治体、企業も利用し、国内ユーザーが8900万人にのぼるなど、もはや社会インフラ的な存在。その自覚を持ち、個人情報の管理問題とあわせてユーザーに真摯に説明すべきでしょう」  LINEを巡っては、個人情報が、利用者への説明が不十分なまま、中国からアクセスできる状態になっていたことで批判を浴びた。今回、新たにユーザーに説明のないまま、なりすまし投稿を本社の指示で行っていたことが明るみに出たことで、説明責任が問われることになりそうだ。  4月21日(水)16時配信の「週刊文春 電子版」、及び同22日(木)発売の「週刊文春」では、なぜLINEがヤラセ投稿を指示していたのか、中年男性社員が女子高生やキラキラ女子になりすまして投稿した内容などを詳報している。
「週刊文春」編集部/週刊文春 2021年4月29日号

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