本日 51 人 - 昨日 372 人 - 累計 904160 人

いじめがなくならない理由

人間は誰でも生まれながらにして攻撃性を持っています。これは大人にも子どもにも当てはまります。現に、大人であっても影で他人に対する攻撃的な悪口を言う人は沢山いますし、国会などの議論でも、他人をコテンパンにやっつけたいという攻撃的な質疑応答が行われています。誰かを攻撃したりいじめたりすることによりストレスを解消したり、自らの劣等感を誤魔化したりするのが、人間の本質なのかも知れません。しかし、人間の大半が、人を傷つけたり、いじめたりすることが悪いことだとわかっています。わかっているのに、どうしてやめられない。そこで、自分が悪いことをしていることを正当化するために、「あいつはいじめられて当然な人間である」と思い込むようになってしまうのです。いじめを止める勇気がない傍観者にとっても、いじめられている子に問題があると思い込めば気持ちが楽になります。クラス全体がこのような心理に捕われてしまうと、いじめを容認し、それに加担してしまうという深刻な状態に陥ってしまいます。クラスや部活動の全員が加害者側につき、ひとりをいじめの標的にしてしまう背景には別な理由もあります。それは自己防衛です。子どもたちは自分にいじめの矛先が向かうことを恐れ、ある特定のひとりに対するいじめに加担してしまいます。自分をいじめの被害から守るためには、いじめられっ子の存在は都合が良いと感じてしまうのです。周囲がそのような状況になると、いじめられている本人も「自分は駄目な人間だ」と思い込んでしまい、冷静な判断ができなくなります。絶望的になり自殺に走ってしまう子もいます。ここまで追い詰められた子は親や教師に相談することもなかなかできません。いじめっ子の仕返しが怖いだけでなく、いじめられていることを認めてしまうと自尊心が傷ついてしまうからです。

心理療法カウンセラー安川雅史のブログ

RSS