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生徒の相談の乗り方⑥

共感のまず一つが受け止めるということです。うなずくということです。共感することが下手な人ほど、うなずき方が下手です。共感されると、人間は次の言葉が出てくるんです。相談が終わった後もそうです。椅子に座ったまま、「気をつけて帰れよ」なんて言う先生方もいますが、自分はそういうことは1回もやったことがないですね。相談が終わったら、子どもと一緒に立ち上がります。必ず横に並んでドアまで歩いていきます。前後じゃだめなのです。この子を今、帰していいかどうかの判断というのは横でなければ分からないですね。震えであるとか足の運び具合というのは横でなければ分からないですよ。「洋子、今日もさ、先生にいろいろなこと話してくれてありがとうね。先生、すごく嬉しかったな。何も心配ないから、先生、洋子のこと必ず守っていくから。先生のことを信用しなさい。何も心配ない。この学校を卒業しようね。先生は、絶対洋子に、卒業証書渡したいから。不安なことあったら、先生に必ず相談してね。必ず先生守っていくからね。暗くなっちゃったな。気をつけて帰りなさいよ。先生また明日洋子のこと待ってるから。じゃあね」

 そこでその子がまだ不安定な場合は、安定するまで待ちます。手を握ってあげると子どもは落ち着きます。人間ってね、手を握ってもらうとすごく安心するんですよ。カウンセリングをやっていても、急にパニックを起こして暴れ始める子どもでも、手を握ってあげるだけで安心するんですね。そこからは時間は無制限です。カウンセリングは時間設定したとしても、帰りに不安定なまま帰して、その子が道路にふらふらなんて出ていったら大変なことになります。この子はもう帰して大丈夫っていうまで手を握ってあげてください。

洋子さんが安心して帰り始めても、その場で待っていてください。何で待っているか分かりますか?多分洋子さんは、歩き始めてから1回は、振り返るはずです。振り返ったときに、まだ先生がいてくれて、「洋子、気をつけて帰りなさいよ」って手を振ってくれるのと、振り返ったときに、もう先生も誰もいないのとでは、大きな違いがあります。

 皆さんも若いころのことを思い出してください。初めてデートをしました。名残惜しいから必ず振り返るでしょ?彼氏彼女がいてくれて、まだ手を振ってくれているでしょう。それが振り返ったときにさっさと向こうを向いて帰っているとどんな気持ちになりますか?不安定な子どもというのは最後まで守ってあげなければいけないのです。たかがそれぐらいと思うかもしれませんが、それぐらいのことができなければ人の気持ちを動かすことはできません。 その日に話した内容をまとめるのは戻ってからです。時間を絶対に置かないでください。時間を置くとすぐに忘れます。例えば会議があるから、会議が終わってからまとめましょう。残念ながら、会議が終わるとほとんど忘れています。夢と一緒です。夢って、起きてすぐは、結構覚えているんです。でも5分たつと忘れていますからね。1時間もたつと、「あれ、夢なんて今日見たっけな?」となってしまう。これと同じです。生徒が帰った直後にメモは残さなければならないのです。子どもの顔を見ながら相談にのっていると、ちゃんとその子の表情が思い浮かんでくるんです。

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