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男女の合格ラインで最大243点差 8割で女子が高く

5/26(水) 毎日新聞
 東京都立高校の普通科の一般入試は、募集定員を男女に分けて設定しているため性別によって合格ラインが異なる。都教委は毎年30~40校を対象に是正措置を講じているものの、2015~20年に実施した入試では、対象校の約8割で女子の合格ラインが最終的に高かったことが、都教委の内部資料で判明した。1000点満点で最大243点上回るケースや、男子の合格最低点を上回った女子20人が不合格とされた事例もあった。  毎日新聞の調べでは、都立高は全国の都道府県立高校で唯一、男女別の定員があり、各校とも都内の公立中学の卒業生の男女比に応じて決まる。合否は中学校が提出する内申点(300点満点)と、国数英理社の筆記試験(700点満点)の合計で決めるが、合格ラインは男女で異なる。  著しい格差を防ぐため、都教委は1998年の入試から、特に差が大きい傾向にある高校を対象に是正措置を行っている。定員の9割までは男女別に合否を判定し、残り1割は男女合同の順位で合格者を決めるもので、近年は普通科高校(約110校)のうち30~40校程度で実施している。  都教委はその効果を確認するため合格ラインの変化を毎年調査している。毎日新聞が調査結果の資料などの情報公開を求めたところ、都教委は今年3月、15~20年入試の是正措置の対象校(延べ199校)の回答用紙について、校名の特定につながる情報を伏せる形で開示した。このうち無回答や明らかに誤記と考えられるものを除く184校の男女差を毎日新聞が分析した。  是正前は約9割の170校で女子の合格最低点が高く、男子との差は、①100点以上=27校②50~99点=41校③40~49点=31校④30~39点=27校⑤20~29点=26校⑥10~19点=8校⑦9点以下=10校。最大で女子の方が426点高い学校もあった。残り1割は男女が同水準か、男子の合格最低点の方が高かった。  是正後も約8割の153校で女子が上回った。男子との差は、①5校②14校③5校④13校⑤34校⑥36校⑦46校と全体的に縮小したものの、それでも最大で243点の差がみられるなど是正につながっていないケースもあった。  毎日新聞は、是正措置を講じていない高校の男女別の合格最低点についても情報公開請求したが、都教委は「学校の順位付けが可能となり、競争が助長される」などとして不開示にした。  男女で合格ラインに差がある現状について、都教委の担当者は「入試が男女別であることは周知しているので、受験生は合否ラインが異なることを理解した上で受けているはずだ」と制度自体に問題はないとの認識だが、「現在の是正措置が完璧ではないことは認識している。世の中の情勢に合わせて改善策を考えていきたい」と話した。  文部科学省は「一般論としては、合理的な理由なく性別によって異なる扱いを受けるのは望ましくない」としつつ、「男女別定員制は東京都が『合理的』と判断して採用しているものと考えている」と静観する。【大久保昂】

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