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誘拐される子供に共通する「ある趣味」の正体 犯罪者との接点はSNSやゲームから生まれる④

こうした事件は少なくない
2020年6月、別の児童買春・ポルノ禁止法違反容疑で逮捕された20代の会社員の男が再逮捕されました。容疑は2019年夏ごろにSNSで知り合った10代女性に「自宅に泊まっていいよ」と誘い、わいせつ目的で誘拐し、性的暴行を加えた疑いです。
男は容疑を否認しています。これはあくまでも推測だということをお断りした上で言いますが、否認しているのは、おそらく困っている女の子を自宅に泊めてあげただけ、という意識がどこかにあるためかもしれません。
2020年の7月にはSNSで知り合った埼玉県の女子中学生を、未成年者と知りながらホテルに連れ込むなどして誘拐した会社員の男(20歳)が逮捕されました。男はSNSで「ホテル行く?」などと女子生徒を誘い出し、合流。
その後、ホテルに入りました。同日、女子生徒の母親から「子どもに電話してもつながらない」と警察に届け出があり、その後、女子生徒は保護されたのです。このような事件を挙げればキリがないためこのあたりにしておきますが、実際のところ、ひっきりなしに起きているというのが現状なのです。
家出願望がある少女に対して善人を装い優しい言葉で近づき、誘拐・監禁する……。もちろん悪いのは犯人である男です。少女を責めることはできません。ただ、SNSやオンラインゲームで知り合っただけでは、少女は誘拐されたり、監禁されたりすることはなかったはずです。
何が言いたいのかというと、“最後に行動を起こすのは子ども自身”だということです。これは、親と子でのネットリテラシーの差が如実に表れた事件だと思います。子どもにスマホを買い与える際に、アダルト関連や違法サイトなどの有害情報を見られないように制限しただけで安心している親がほとんどではないでしょうか。
子どもがスマホで何をやっていたのか、事件後に親は初めて知って驚くのです。13歳未満の子どもは自分のGoogleアカウントを持てません。親の皆さんが子どもにゲームをさせるためだけの目的でアカウントを子どもに渡し、子どもは親のアカウントでゲームをやっていたはずです。
ゲームをやらせている以上、少なくとも親御さんは、日頃の親子の会話の中で、子どもが自分のアカウントでどんなゲームをしているのか、アカウントを持たせることでどんなことができるのか、SNSをどんなふうに利用しているのか、知っておいてほしいのです。

2021年3月29日 東洋経済オンライン 筆者;佐々木 成三 : 元埼玉県警察本部刑事部捜査第一課・警部補

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