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ネットで小学生がトラブル 長時間利用で2・5倍に 喧嘩、知らない人と会うなど…

インターネット上で喧嘩(けんか)などをする小学生のトラブルは、1日に3時間以上ネットを使う子に多く、3時間未満の子に比べると2・5倍になる-。そんな実態が、兵庫県尼崎市教育委員会のアンケートで明らかになった。3時間以上使う子ほど、知らない人と連絡を取ったり、イライラしたりする傾向も浮き彫りになり、小学生が長時間利用することの危険性がうかがえる結果になった。(竹本拓也)


 尼崎市教委によると、小学生のネット事情を市町が独自に調査するのは異例。コロナ禍でネットを使う子は低年齢化しており、県立大の竹内和雄准教授は「適切な使い方を学ばせる年齢をもっと下げないといけない」と警鐘を鳴らす。

 アンケートは市内の小学4~6年生計3695人を対象に実施。ネット上で喧嘩するなどのトラブルを経験したことがあると答えた児童は20%に上り、ネットの接続時間が「3時間未満」は12%なのに対し、「3時間以上」は約2・5倍の31%だった。

 同様に、ゲームやスタンプ購入のために「ネット上で課金をしたことがある」とした児童も36%に上り、「3時間未満」は25%、「3時間以上」は51%で約2倍だった。およそ40人に1人の割合で1カ月の課金合計が5万円を超えていた。

 さらに「会ったことのない人とネット上でやり取りをしたことがある」も32%に。「3時間未満」は19%、「3時間以上」は51%で、これは2・6倍にもなっていた。

 他にも「3時間以上」する児童は「3時間未満」の子どもに比べ、午前0時より遅く寝る▽よくイライラする▽勉強に自信がない-のいずれの項目でも高い傾向が見られた。

 「家で一番すること」は何かを問うと、どの学年もテレビや勉強を上回って「ネット」が最多となった。ただ、4、5年生は3割前後だったが、6年生は4割強を占め、学年を追って利用率が高まっていた。

■利用実態見えず異例の独自調査■

 「危険の芽を早く摘む。結果が悪いなら改善すべきだ」。小学生のネット環境を独自に調べた尼崎市教育委員会。踏み切った背景には、コロナ禍でオンライン授業が急速に普及しながら、学校現場では子どものネット利用の実態が見えにくいというジレンマがある。

 2017年に市立中学の女子生徒が自殺した問題でも、女子生徒が同級生らからSNSを使ったいじめに遭っていたことが19年に判明。同様のいじめは全国でも深刻化しており、子どもにネットの適切な使い方を教えるために調査は欠かせないと判断した。

 アンケートでは、ネット上で知り合った「面識のない人」と実際に会ったことがあるという児童も少なくなかった。トラブルと長時間利用に相関性があることが示され、市教委は今後、結果を踏まえて子どもに主体的なルール作りを促す。

 市教委は昨年からネットの使い方を教えるため、県立大の大学生を小学校に派遣するなど「情報モラル教育」に力を入れる。アンケートはその一環という。

 市教委は今秋にも、市内の小中高校生がスマホやSNSの使用に議論を深める「尼崎市スマホサミット」を開く方針だ。

神戸新聞NEXT

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