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小学校の遠足で「おやつ離れ」 なぜそうなったのか?

今春、小学校に上がる孫から「じいちゃん、入学祝いにスマホ買って!」とねだられ、大阪府在住のAさん(63)は当惑している。「早すぎると一蹴したんですが、(孫の母親である)娘は『これからは小学校に持っていくのが当たり前になる』というんですよ」

 今年2月、文科省はこれまで原則禁止としていた「小中学校への携帯電話やスマホの持ち込み」を見直す方針を示した。災害時や緊急時の連絡手段確保を理由に、保護者から“スマホ解禁”を求める声が上がっているためだ。

 もはや昭和世代にとっては隔世の感がある昨今の学校事情だが、スマホの持ち込みに限らず、休み時間の遊びにも大きな変化がある。教育評論家の石川幸夫氏が解説する。

「ドッジボールを禁止する学校は珍しくない。特定の子が集中的に狙われ、いじめにつながるということで、連鎖的に禁止が広がっていきました」

 そこで、ボールを転がして当てる“コロコロドッジボール”を推奨する学校もあるという。

「校外授業」に名を変えつつある遠足。かつては“バナナはおやつに含まれるのか”が議論になったが、「最近は、おやつを禁止する学校が増えています。学習の一環ということと、“お菓子交換”による食物アレルギー事故などの防止が理由」(石川氏)だという。

 個人情報に対する“意識の高まり”で、学級通信などに写真を載せる際にも制約が出てきている。千葉県船橋市の小学校教諭・城ケ崎滋雄氏が語る。

「写真の使用については、年度初めに書面で保護者の承諾を取り付けます。拒否されたご家庭の子は写真を載せないよう配慮しますが、逆に『ウチの子はあまり載らない』というクレームもある。教員は児童ごとの登場回数を正の字を書いて記録しています」

 ネットやSNSで、子供の写真が悪用されないとも限らない。学校側が慎重になるのも致し方ないのかもしれないが……。小学校2年生の孫の授業を参観した埼玉県在住のBさん(68)がため息をつく。

「入学式で孫がクラスメートと仲良くしている写真を撮っていたら、先生から『他のお子さんが写り込む時は保護者の許可を得てください』と叱られました。めでたい席なのに記念撮影も自由にできないなんて……」

 個人情報保護の観点から、緊急連絡網を作らない学校も増えている。臨時休校や学級閉鎖など、学校からの緊急連絡は一斉メールで来るのが当たり前だ。となると、孫からねだられたスマホ、やっぱり必要かも……。

※週刊ポスト2019年4月12日号

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