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いじめを半年以上放置 広島・呉の中3下着脱がされ精神疾患

広島県呉市の市立中学3年の男子生徒が下着を脱がされるなどのいじめで不登校に
なり、精神疾患を発症したと訴えたのに、学校が半年以上「重大事態」として扱わず
第三者委員会の設置などの対応をしなかったことが発覚した。国の指針では被害者が
申し立てた場合、学校は重大事態を前提に報告・調査するよう規定。下着を脱がされ
る行為も重大事態として例示している。 男子生徒、保護者の祖父らや広島県教育委
員会によると、男子生徒は1年生の時から同級生にシャツやズボンを破られるなどの
いじめを受けていた。2年生だった2017年11月下旬、3回にわたり、昼休みに教室で同
級生4~6人に床に倒され、手足を押さえられてズボンと下着を脱がされた。2018年4
月下旬から一時不登校になり、2018年6月には不安障害と睡眠障害の診断を受け、現
在も治療を受けている。祖父らは「重大ないじめ被害」として17年11月のいじめの直
後から、学校に調査を求めた。学校は同級生への聞き取り結果を男子生徒側に報告せ
ず、「グループ内の罰ゲーム」などの説明を続けた。しかし、2018年11月に呉市教育
委員会から重大事態として再検討すると連絡があり、2019年2月には「重大事態に認
定し、第三者委を設置したい」と伝達。これまで認定しなかった理由について校長ら
は「調査が被害生徒の負担になることなどを考慮した」と釈明したという。重大事態
は、いじめ防止対策推進法に基づいて規定。国の指針では「いじめで子供の生命・心
身・財産に重大な被害が生じ、または欠席を余儀なくされた疑いがある場合」と定義
し、市教委への報告や調査を求めている。過去の事例として「多くの生徒の前でズボ
ンと下着を脱がされ裸にされた」というケースも紹介。子供や保護者から申し立てが
あれば、学校側の判断にかかわらず重大事態として対応するよう明記している。 服
を破られるなど1年生の時から始まったいじめは、次第にエスカレート。2年生になっ
て教室で無理やり下着を脱がされた。「眠れなくなり、同級生や先生の顔を見るのは
つらかった」下着を脱がす行為は国の指針でも挙げられた深刻ないじめ。しかし、学
校は男子生徒の訴えを否定した。祖父らに「シャツを破ったのはじゃれていただけ。
下着を脱がしたのは当時のブームで、グループ内の罰ゲーム」などと説明したとい
う。

 学校が子供のSOSを放置し、最悪の事態を招くケースが全国で相次ぐ。家族は情報
を十分知らされず深く傷つく。2011年に大津市立中学校で起きたいじめ自殺の調査に
も関わった渡部吉泰弁護士(兵庫県弁護士会)は「学校は真摯(しんし)に調査し、
当事者に説明を果たす義務がある」と指摘する。

 男子生徒は今月の卒業式まで学校を休みがちだったが、今は高校で部活動に打ち込
む目標が心の支えだ。「きちんと調査し、いじめがあったという事実を分かってほし
い」と声を振り絞った。
3/26(火) 毎日新聞から抜粋

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