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接客で使い分け

2017/3/27 日本経済新聞 夕刊 

■接客で使い分け
 一方、同じ小売業でも、百貨店など業態によっては、従業員の名前を客に提示する必要性を指摘する。「専門知識をもった店員への問い合わせが多く、信頼関係を築くには必要」(高島屋)など、客からの信頼に応えることを理由に挙げる。大手流通などでも「金銭を扱うレジの責任者として自覚をもってほしい」「問い合わせにスムーズに対応する目的」などを名前明記の理由に挙げる。
 個人情報に詳しい清水勉弁護士は「客との距離感や専門性など、通常業務でフルネームを知らせる必要性があるかを考えるべきだ」と強調する。高額な商品を扱う百貨店ならば、担当者名が分かる方が客も安心し購買に結びつきやすい。一方で特に専門性をもたない接客業務ならば時刻やレジの番号さえ分かれば内部で担当者を特定でき、客側に知らせる必要もない。
 労働契約法の安全配慮義務によって、労働者が安全を確保して働くために使用者側には具体的な状況に応じた必要な配慮が求められている。社会保険労務士の奥山恵一さんは「ストーカーとクレーマーから従業員をどう守れるか。ネット時代になり、個人情報に関して配慮すべき範囲は広がっている」と話す。
 「私人」の側面の強いアルバイトの学生らを守るのも雇用側の責任であり、経営陣も会社法などに基づき責任を問われる可能性がある。日本ネットワークセキュリティ協会(東京・港)の調査研究部会長の前田典彦氏は「リスクを知らなかったというのは通用しなくなってきている」と語る。
 ただ、個人も、職場や学校など行動範囲を特定されかねない投稿は避けるなど、自衛策を怠らないことも大前提。SNSに投稿する前に落ち着いてリスクを精査してみる必要がある。

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