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サイバーストーカー、増殖 実生活へ犯行拡大の恐れ トラブル相談、大半は中高生

サイバーストーカー、増殖 実生活へ犯行拡大の恐れ トラブル相談、大半は中高生
2016年9月12日 朝日新聞

インターネット上でしつこくつきまとったり、嫌がらせしたりする「サイバーストーカー」の被害が急増している。エスカレートすると、ネットの世界にとどまらず、実生活での加害行為に及ぶなど、深刻な事件につながる危険もはらむ。実態を把握し対策に生かそうと、警察庁は来年度、調査研究に乗り出す方針だ。
 サイバーストーカーは、ツイッターやフェイスブックといったソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)やメールなどを通じ、面識もない相手や元交際相手らに対し、何度も一方的に好意を伝えたり面会や交際・復縁をしつこく迫ったりする行為だ。
 拒絶や無視をされると、相手を逆恨みし、ネット上で嫌がらせや中傷、脅迫を繰り返すことがある。またSNSの投稿内容や写真から行動パターンや生活圏を割り出し、待ち伏せするなど、直接的な加害行為に至ることもある。
 東京都三鷹市では2013年10月、高校3年の女子生徒(当時18)が元交際相手の男に刺殺される事件が起きた。男は女子生徒から別れを告げられると、交際中に撮った写真をネットに流出させると言って関係継続を要求。同年7〜10月には実際に流出させる、いわゆる「リベンジポルノ」をしていたとされる。
 また、東京都小金井市で今年5月、音楽活動をしていた女子大学生が男に襲われた事件では、大学生は、男からツイッターに執拗(しつよう)な書き込みをされ、ブロックしていた。事件当日はライブイベントに出演予定で、男は駅の近くで待ち伏せして犯行に及んだという。

ネット上のトラブル相談に応じる「全国webカウンセリング協議会」によると、三鷹市の事件が起きた13年10月には、それまで月間0〜3件だった相談が、一気に25件に急増したという。安川雅史理事長は「若い人たちが事件のことを知り、不安に感じていた」と当時を振り返る。
 その後も相談は増加傾向で、今年7月は過去最多の62件に達した。相談者の大半は中高生だといい、安川理事長は「スマートフォンやSNSの利用が進んでおり、中高生を中心に被害の拡大が予想される。早急に対策を考える必要がある」と指摘する。


 ■「技術・機器が進歩、手口も多様化」警察庁、実態調査へ 被害・手口を集約、分析
 「通信技術や機器がどんどん進歩し、広がっている。悪用するストーカーは今後も増え、手口も多様化していくだろう」
 サイバーストーカーをめぐる情勢に、警察庁の担当者は危機感を口にする。警察は三鷹事件を受け、ストーカー事案への態勢を整備したが、小金井事件では事前に書き込みについて相談を受けていながら発生を防げず、対応に教訓を残す結果となった。
 こうしたことを踏まえ、同庁はサイバーストーカーに関する調査研究を始める方針を固め、関連経費として来年度予算の概算要求に900万円を計上した。
 調査研究では、国内の被害実態や犯行手口を把握するため、各地の事例を都道府県警から集約し、被害者の相談を受けている外部機関からも聞き取りを行うことを想定する。また研究が進むアメリカやカナダなどの文献調査を通じ、海外の事例についても情報収集を進めるほか、有識者会議を設けて意見を求める。
 研究成果は警察官向けの研修用資料としてまとめ、全国に配る予定という。都道府県警の相談能力を向上させ、被害防止につなげたい考えだ。

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