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公立小中の児童生徒に1人1台端末 兵庫県の全41市町で配備完了

6/17(木) 15:39 毎日新聞


新型コロナウイルス感染拡大で導入が急がれていた公立小中学校の児童生徒に対する「1人1台端末」の配備が、兵庫県内全41市町で5月までに完了したことが毎日新聞の取材で分かった。全市町が2020年度中の配備を予定していたが、コロナ禍で海外工場での端末の製造が遅れるなどして一部は完了が21年度にずれ込んだ。


 23年度までに児童生徒に1人1台端末を配備する国の「GIGAスクール構想」は、コロナ禍を受けて20年度中の配備完了に前倒しされた。しかし県内では5市町で配備が遅れ、21年度当初から活用していく方針に影響が出た市もあった。


 配備が遅れた加古川、高砂、播磨、稲美の4市町は自治体単位で導入する無線通信システム「地域BWA(広帯域移動無線アクセス)」の整備を共同で進めてきた。4市町内であれば、どこからでも専用の高速通信が利用できるシステムで、市町が費用を負担するため児童生徒の家庭の通信環境格差を解消できるが、接続するには専用のSIMカードの入った端末が必要となる。


 高砂市教育委員会によると、SIMカードの紛失や悪用を防ぐため、カードを内蔵する特別仕様の端末を協調して海外工場に発注したが、コロナ禍で工場の稼働率が下がったり、リモートワークで需要が高まった電子部品の調達に遅れが生じたりして納品が遅れた。担当者は「打てる手もなく、やきもきした」と振り返る。


 ただ、教員用端末は先行して届いたため、20年度中に全教室に配備した電子黒板に教員の端末画面を映してリモートでの全校朝会やオンライン卒業式、民間企業によるオンライン授業などに挑戦。以前から配備されていたノートパソコンを使って、児童生徒がオンラインでアンケートに答えたり、デジタルドリルで学習したりする練習に取り組んだ。


 稲美町も5月末までに端末がそろった。21年度初めには間に合わなかったが、その間に情報モラルの指導ができて良い面もあったという。思わぬ誤算は、導入したばかりの地域BWAの通信環境が悪い場所もあること。学校は鉄筋コンクリートの建物が密集しているため電波が入りにくい場所もあり、基地局の増設を検討中だ。播磨町でも児童生徒が一斉に使い始めると通信できなくなることがあり、端末はそろったもののクラス単位での本格稼働には待ったがかかっている。


 納品の遅れはなかった豊岡市も配備完了は5月中。従来中学で使っていたタブレット端末を小学生に回す計画だったため、数をそろえ直したり設定を変更したりする作業に手間取った。【稲田佳代】


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