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いじめの調査と対策検証 鹿児島県教委が常設委設置へ

6月10日 南日本新聞
鹿児島県教育委員会がいじめの「調査」と「対策の検証」という二つの役割を担う常設委員会を設置する方針であることが9日、分かった。18日開会の県議会定例会に条例案が提案される予定。常設委設置は、2014年に県立高校1年の田中拓海さん=当時(15)=が自殺した問題に関連して、再発防止検討会が今年3月に知事に提出した提言を踏まえた。9日の教育委員会定例会で、教育委員に条例案について非公開で説明した。  県教委によると、常設委はいじめ防止対策推進法に定める「重大事態」に加えて、教委が必要と判断した事例を調査する。委員は、現行の「いじめ調査委員会条例」で規定する「5人以内」から、6人程度に増やす。文部科学省のガイドラインに沿ってこれまでの調査委と同様に、学識経験者、弁護士や心理・福祉の専門家といった職能団体からの推薦者を選任する。  任期は2年の見込み。現行は対象事案が出た際に委員を選び、委員会設置から調査終了までを任期としていた。常設化により即応できる体制を目指す。新条例制定に伴い現行条例は廃止する。
 検証を担う機関は、県教委にこれまで設置されていなかった。県いじめ防止基本方針に基づき、防止策が実行されているか、機能しているかなどをチェックする。  田中さんの自殺を巡っては、県教委設置の第三者委が17年に「いじめがあったとは断定できない」と報告したが、県総務部が設けた再調査委が19年の最終報告で「いじめの影響」と認めた。  同年に設置された再発防止検討会は、重大事態が発生した後の学校対応やいじめ防止対策、調査や検証の在り方を協議。提言には、迅速な調査や防止策の実効性向上のため常設機関の設置を盛り込んだ。遺族らの声を聴く教員研修の検討も求めている。 いじめの重大事態  いじめにより、児童生徒の生命や心身に重大な被害が生じた疑いや、相当期間学校を欠席することを余儀なくされた疑いが生じた場合のこと。大津市の中学2年男子自殺をきっかけに、2013年施行の「いじめ防止対策推進法」で定義された。発生した場合、調査と首長への報告を義務付けている。

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