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中1転落死、部活で「いじめ」認定 コロナで心身弱る中

昨年6月に北海道登別市の市立中学1年の男子生徒(当時13)が転落死した事案で、市教育委員会の第三者委員会「市重大事案対策委員会」(竹内亮平会長)は22日、いじめの事実を認定し、学校側の指導不足を指摘した。コロナ禍によるストレスの影響にも言及した。市教委は今後、再発防止策の策定作業に入る。


■母親は「いじめで自殺した」訴え

 男子生徒は昨年6月22日午前8時すぎ、自宅のある市内の集合住宅から転落して死亡した。母親が学校側に「いじめで自殺した」と訴えたことなどから、市教委は第三者委を設置して調べていた。

 公表された報告書の概要などによると、第三者委は警察や母親などの話から、男子生徒の転落死は自殺だったと認定した。原因については、「内的要因」と「外的要因」があり、複合的な原因だったとした。

 内的要因としては、新型コロナウイルスの影響で学校が休校になり、男子生徒は自宅にこもりがちになることでストレスに苦しんでいたと指摘。成績が下がって体力も落ち、腹痛も訴えていたという。

 外的要因としては、同じ部活の生徒から身体的な特徴をからかう言葉を言われたり、体を触られる行為も受けたりし、これらがいじめにあたると認定した。コロナ禍で心も体も弱っていた男子生徒にとっては「大きな衝撃だった」と判断した。

 また、男子生徒が所属していた部活動では、からかう言葉などが「普段から当たり前に飛び交うような緩い環境であった」と指摘した。学校の対応については、こうした言葉が飛び交うことに対し、「しっかりと注意、指導するべきだ」と批判した。ただ、「教員は忙しく部活動ばかりに時間をさけない。十分に対応できる体制にない」と、学校現場の問題も指摘した。

 報告書は22日、竹内会長が市教委の武田博教育長に渡し、答申した。一方、第三者委と市教委は報告書の全文を公表せず、原因を中心とした概要の公表にとどめた。「遺族の感情や関係者の影響を考えた」と説明している。

朝日新聞社

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