本日 56 人 - 昨日 402 人 - 累計 908874 人

SNS ストーカー被害急増 サイバー型規制強化へ

2016年8月26日 金曜日
中日新聞 東京新聞
自民、公明両党を中心に、九月に召集予定の臨時国会でストーカー規制法の改正を目指す動きが出ている。改正の柱は、会員制交流サイト(SNS、ソーシャル・ネットワーキング・サービス)への執拗(しつよう)な書き込みの規制。背景にインターネットを使った「サイバーストーカー」の深刻化がある。危機感を強めた警察も実態調査に乗りだす。 (北川成史)

警察の全国調査なく 与党、法改正に本腰

■対象拡大
与党のストーカー規制法改正に関するワーキングチームは2016年8月4日、改正案の概要をまとめた。
最大のポイントは、規制対象となる行為の拡大だ。現在は、相手に拒まれているのに、連続して電話したり、ファックスやメールを送ったりする行為を禁じているが、新たにSNSでメッセージを送ったり、コメントを書き込んだりする行為を追加した。緊急性が高い場合は、事前に加害者に通告しなくても禁止命令が出せることや、罰則の強化、被害者が告訴をためらっても起訴できるよう「非親告罪」とすることも盛り込んだ。法改正の動きの発端は、東京都小金井市で2016年5月、音楽活動をしていた女子大生がファンの男に刺され、一時、重体になった事件だった。男はツイッターで」、女子大生に「好きです」などと計数百件のメッセージを送信。女子大生は警察署に相談していたが、担当者はストーカー事案として扱わなかった。警察の不手際は、SNSの規制が法律に明文化されていない問題を浮き上がらせた。ネット上のトラブル相談に応じる「全国webカウンセリング協議会」(東京)によると、サイバーストーカーの相談は急増している。2012年の10件~、2015年は471件に増加。今年は7月までに、昨年を超えるペースの382件の相談があった。相談者の9割は中高生。「裸の画像をネット上に掲載された」といった「リベンジ(復讐)ポルノ」に当たる深刻な相談も寄せられている。安川雅史理事長は「スマートフォン(多機能携帯電話)やSNSの利用が進み、手をもまねいていると、若い人を中心にサイバーストーカーの被害は更に増える」と危惧する。悪用されるツールの普及も懸念される。2014年には、ネットを通じて位置情報等を取得できる市販の「監視アプリ」を知人女性のスマホに仕組んだ男が逮捕された・

■調査開始
警察庁は、2016年8月25日、スマホを使ったサイバーストーカーについて、調査研究する方針を示した。2017年度予算の概算要求に、費用900万円を盛り込んだ。全国の警察が把握したストーカー被害は、2015年は、22000件。3年連続で、20000件を超えた。被害者は10代と20代で45%を占める。スマホの普及に伴い、被害の中にサイバーストーカーも多く含まれるとみられているが、警察による全国的な調査はなかった。調査研究では、国内でのスマホを使ったサイバーストーカーの実例や、海外の先進的な取り組み例を収集。有識者を交えて対策を話し合い、警察官の研修や市民向け啓発の資料を作る。「サイバーストーカー対策は後手後手だった」。安川雅史理事長は批判を交えつつ、「法改正とともに、全国の警察が的確に対応する能力を持つこと。ネット利用者も身を守る意識を高め、個人情報をさらさないことが必要」と訴えている。

RSS