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生徒の自殺を防ぐために②

学校の「担任制」というものにも弊害があります。1つのクラスを1人の担任が受け持つだけでは、生徒は実質上、担任の教師だけにしか相談することができません。ましてや、その担任教師があまり教育に熱心でなかったり、経験不足やいじめなどの知識が少なかったりしたら、子どものことを理解することができない恐れもあります。そうなると、子どもは学校で誰にも相談することができなくなってしまいます。子どもにしてみれば、体育の先生が好きで、その先生の方が相談しやすいという子どももいるかもしれませんし、となりのクラスの先生の方が、自分の悩みについて適切にアドバイスしてくれるのではないかと感じていたり、何となく話しやすいと感じている場合もあるでしょう。やはり人間同士ですから、相性というのがあるのです。ですが、担任制という制度は、「これだけの生徒のことはあなた(担任)が責任を持ってやりなさい」といって、さまざまな素養を持った教師を十把一絡げに扱い、その1人ひとりに、クラス単位で生徒たちを機械的に割り当ててしまう制度なのです。これは教える側の「怠慢」とも言えるし、また、責任主義の悪い形だともいえると思います。この制度では、いじめ問題などが起きても、「担任任せ」になってしまわざるを得ません。現行のやり方では、うまく生徒の問題に対応できないことも多々あるのです。 生徒のことを一番よく知っているのは担任の先生。それはそれでかまいませんが、さらに教師全員が、学校全体で1人ひとりの生徒に対して取り組んでいく姿勢が必要です。これは、生徒全員に気を配れ、ということでは決してありません。「あの生徒は○○先生が担任している生徒だから」と、はじめから眼中に入れないような態度は改めましょう、と言っているだけなのです。そうすれば、教師の誰かしらが、なんらかの「危険信号」を出している生徒のことにもっと早く気づき、その生徒の担任と相談したり協力したりするなどして、問題を解決に向かわせることができるはずなのです。いずれにしろ、生徒の自殺といった事件が起こった時、「いじめの事実については学校側で把握していなかった」、「そんな様子はなかった」などという教育者の言葉は、これ以上聞きたくありません。

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